「ブランディング」というといまいちピンと来ない方が多いのではないでしょうか?
簡単に言えば商品やサービスに対して個人が持つ共通認識のイメージをブランドと呼び、そのイメージを一人一人に認識してもらうことをブランディングと呼びます。企業はブランディングを実施し、業界においてポジションを確立することによって商品やサービスの価値を認識してもらい、ユーザーや従業員を獲得することができるのです。
とりわけフィットネス業界においてのブランディング戦略についてはこれまでテーマとして語られることが少なかったのが現状です。そこで、2022年1月22日に私たち株式会社JELLNESSは、フィットネス業界歴20年以上の大先輩やフィットネスベンチャー企業のキーパーソンをお招きし、総勢14社で業界のあれこれを語り尽くしました。
今回の記事では「フィットネス業界のブランディング戦略」というテーマを7社で議論した内容の一部をピックアップして紹介していきます。
業界の今後について、フィットネスベンチャー14社が240分NGなしの本気で議論した話
の続きはこちらで見れます。
今回参加してくれたフィットネス業界をリードする7社の紹介
- 株式会社hacomono マーケ/広報/PR担当 工藤佳奈江 氏
- MESSI株式会社 代表取締役 横山翔太 氏
- stadiums株式会社 代表取締役 大石裕明 氏
- 株式会社MIGRIDS 代表取締役 鈴木太郎 氏
- NESTA JAPAN 副代表 齊藤邦秀 氏
- 株式会社GOAL-B 広報担当 柳楽武志 氏
- 株式会社JELLNESS 代表取締役 樗澤一樹
フィットネス業界の印象とブランディングの必要性
「フィットネス業界」と聞くと、高単価なパーソナルトレーニングや月会費の回収など、利益の追求を第一に求めるようなドライな印象が少なからず見受けられます。しかし実際には、社会に「健康」という大きな価値を提供するためにフィットネス企業は試行錯誤を重ねています。
NESTA JAPAN副代表の齊藤邦秀氏によれば、これまでフィットネスは2000年頃まで派手なレオタードを着てエアロビクスをするなど、ニッチな市場でした。そのため競合はあまりおらず、企業のブランドについてもそこまで重要視されていなかったと考えられています。
しかし、現在では大手ジムやRIZAPの店舗拡大を受けてフィットネスがかなり身近なものとなり、企業の競争が激化しています。そのため、会社のブランディングや差別化は今後より重要度が増すことが予想されます。そこで具体的にフィットネス企業は「どのような戦略を取れば良いか」議論していきました。
企業理念の浸透はメンバーのパフォーマンスにも顧客満足度にも繋がる
フィットネス業界のブランディング戦略で何が重要かという議論において、参加した7社で「これは重要だ」と共通して言えることがありました。
それは「企業理念の浸透」です。
企業理念の浸透がなぜ重要なのかと言うと、
- メンバーの定着・離職率低下
- 顧客満足度の向上
に繋がるからです。
企業のメンバー・従業員達が企業理念を認識しているか否かが、最終的に顧客への満足度に影響するのです。
ブランディングから顧客満足までの繋がり
企業理念、すなわち経営側の意識が社員だけでなくアルバイトのメンバーにまで伝わることが顧客満足に関係しています。会社のメンバーにとって企業理念は「なぜこの仕事をするのか?」の働く意味やモチベーションに繋がります。結果的にこうした理念の浸透が、分かりやすい例で言うとジムの清掃や細かい作業など主体的な行動を促します。そして、それがお客様の満足度にも繋がるのです。
MESSI株式会社の代表取締役である横山翔太氏がジムのブランディングにおいて、「お客様がジムに悪いイメージを抱く要素はそこまで多くなく、衛生面やマシンの充実度などジムの環境を整えることが基本的なサービスの満足度に貢献する」と仰っています。
「ジムのブランドにお客様が悪い印象を持つ要素はそれほど多くはない。ブランドにマイナス要素となるのは衛生面やマシンなどの環境が特に挙げられます。ブランディング施策を行うことは従業員に細かい気遣いを促し、結果としてお客様が快適にジムを利用できるようになる」
このように社内に向けた企業理念の浸透を「インナーブランディング」と呼びます。現場のトレーナーがジムの環境を整えることは非常に重要であり、それを可能にするのが企業理念の浸透なのです。
また株式会社GOAL-Bの広報担当、柳楽武志氏がこれまで多くの経営者と接してきた中で、成功している経営者の特徴として「経営者のキャラがはっきりしていて分かりやすい」ということを挙げていました。というのも経営者のキャラクターが会社自体のビジョンやカルチャーを形成しており、それが分かりやすければ社員にも伝わりやすいからです。
さらに、株式会社MIGRIDSの代表取締役である鈴木太郎氏によれば、「会社のビジョンを決めて社内で共有するようになってからは、実際にトレーナーの仕事に対するモチベーションが向上し離職率が下がった」そうです。
- 「従業員が主体性を持って動いてくれない」
- 「顧客満足度に課題がある」
そんな時はブランディングの再定義や企業理念の浸透ができているのかを再確認する必要があると言えます。企業理念の浸透は従業員の働く意味を明確にし、モチベーションを向上させます。
その結果、お客様は「なぜこのジムに通うのか?」「なぜこのトレーナーを選ぶのか?」が明確になり顧客満足度に繋がると言えます。
攻めと守りのバランス「マーケティング」と「バックオフィス」
ブランディングの次に盛りあがったのが、企業の集客や認知に繋がる攻めの「マーケティング」と職場環境やサービスの内容・質を高める守りの「バックオフィス」の重要性についてです。
結論から言えば、「どちらの方が重要」ではなく「マーケティングもバックオフィスもバランスよく大切」といった結論に至りました。
バックオフィス・守りの重要性
- stadiums株式会社の代表、大石裕明氏の「サービスの内容に魅力が無く必要とされていなければ、そもそもお客様に感動を与えることができない」
- 株式会社hacomonoのマーケ広報、工藤佳奈江氏の「サービスを作るのは人であり、働ける環境が整っていなければ良いサービスは生まれない」
バックオフィスを固めることは従業員のパフォーマンスを上げ、顧客満足に繋がるといった重要性があります。対するマーケティングの重要性は以下に続きます。
マーケティング・攻めの重要性
- 株式会社GOAL-Bの広報担当をしている柳楽武志氏の「まず認知を取って面白いことをしている会社だと知ってもらう」
- 株式会社MIGRIDSの代表、鈴木太郎氏の「まず会社のことを知ってもらった後に会社のビジョンを伝えていく」
マーケティングで認知獲得することは自社サービスのリーチ数に直結するのです。
このように、企業は「マーケティング」と「バックオフィス」を同時に行っていくことがスタッフとお客様の良好な関係を築くことに繋がります。それが結果として「この会社は良いな」というブランド形成にも繋がっていくのです。
まとめ
今のフィットネス業界の動向やフィットネス企業において差別化するポイントをお分かりいただけたでしょうか?
企業理念を決定し、それを伝えていく「マーケティング」と、サービス自体の満足度をあげる「バックオフィス」を行い会社のブランディングをしていくことがフィットネス業界でポジションを確立することに繋がっていきます。
- 企業理念を明確にすることで起こる従業員のモチベーションと顧客満足度の向上
- マーケティングとバックオフィスの両輪を揃えることで支えるブランディング
今回はまとめた「ブランディング戦略」の他にも
「パーソナルトレーナーはどこまで役に立てるのか」
「フィットネスは本当に社会課題を解決できるのか」
といったテーマも対談しています。
続きが見れる動画は有料コンテンツとなりますが、トンガ王国のチャリティイベントに寄付させていただいております。
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