パーソナルトレーナーの資格は、国家資格から民間資格まで様々な種類があります。
難易度も資格によって変わりますが、なかでも「最難関」と呼ばれるのが、今回ご紹介する「NATA-ATC」というアスレティックトレーナーの資格です。
日本人でも、わずかな人しか取得していないこの資格。NATA-ATC資格はどんな団体が発行していて、どうやって取得すればいいのかを詳しく解説します!
全米アスレティック協会「NATA」とはどんな団体?
NATAは、全米アスレティック協会(National Athletic Trainers’ Association)の英語名の頭文字を取った略称です。
1950年、ミズーリ州カンザスに200名のアスレティックトレーナーが集まり、トレーナー業の未来についてのでカンファレンスを開催。そのときに正式に設立されたのが、NATAです。
NATAが設立後、全米ではアスレティックトレーニングの職業の認知度向上が進んでいきました。その拠点はノースカロライナ州グリーンビルに置かれた、現在はテキサス州ダラスに本社があります。
10の地区で構成
NATAはアメリカを10の地区に分けられて、それぞれの部門が構成されています。
NATAの会長や取締役を選出するときなど、この10地区から投票を行う形をとっており、それだけアメリカではNATAという資格団体が広く組織化されていることが分かります。
構成地区一覧
エリア | 州 |
---|---|
東部(1区) | コネチカット、マサチューセッツ、ロードアイランド、バーモント、ニューハンプシャー、メイン |
東部(2区) | デラウェア、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルバニア |
大西洋中央部(3区) | メリーランド、ノースカロライナ、サウスカロライナ、バージニア、ウェストバージニア、コロンビア特別区 |
五大湖(4区) | イリノイ、インディアナ、ミシガン、ミネソタ、オハイオ、ウィスコンシン、マニトバ、オンタリオ |
中米(5区) | アイオワ、カンザス、ミズーリ、ネブラスカ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスダコタ |
南西(6区) | アーカンソー州、テキサス州 |
ロッキーマウンテン(7区) | アリゾナ、コロラド、ニューメキシコ、ユタ、ワイオミング |
ファーウェスト(8区) | カリフォルニア、ハワイ、ネバダ |
南東(9区) | アラバマ、フロリダ、ジョージア、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピ、テネシー |
北西(10区) | アラスカ、アイダホ、モンタナ、オレゴン、ワシントン、アルバータ、ブリティッシュコロンビア、サスカチュワン |
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「NATA-ATC」と日米のアスレティックトレーナーの違い
ここまでに、「アスレティックトレーナー」という言葉が何度か出てきたのに気づいたでしょうか?
日本でも体育系大学・専門学校等での勉強を通して、日本スポーツ協会(旧名:日本体育協会)などの国内団体が発行する「アスレティックトレーナー」の名前のつく資格があります。
日本のアスレティックトレーナー資格は民間資格であるのに対し、アメリカのNATA-ATC資格は特定の州で認められた国家資格です。
日本の資格と海外で発行するアスレティックトレーナーは、別物なので注意しましょう。
日本のアスレティックトレーナー
アスレティックトレーナーとは、アスリートやスポーツをしている人にケガの予防やリハビリテーション、テーピングなどを施すトレーナーのことです。
実際に、日本国内のアスレティックトレーナーのなかには、こうしたケアの技術が身につく鍼灸師の資格を持っている人もいます。
しかし、正直日本ではアスリートにウェイトトレーニングを指導するトレーナー、フィットネスクラブで一般人にトレーニング指導するトレーナー(ジムインストラクター)など様々な場面で活躍するトレーナーの、定義や区別が漠然としているのが現状です。
ここ数年で、ようやく一般人(あるいはアスリート)にマンツーマンのトレーニング指導をするパーソナルトレーナーが知られ始めて、トレーナー職が実はバリエーションがいくつもあると認知されつつあります。
アメリカのアスレティックトレーナー
しかしアメリカでアスレティックトレーナーとして働くためには、NATA 認定の大学(あるいは大学院)を卒業し「資格認定委員会BOC(Board of Certification)」が実施する試験に合格する必要があります。
そうして手に入るのが、「NATA-ATC(アスレティックトレーナー)」です。NATA-ATCは1990年、アメリカ医学界(AMA)によって准医療従事者として認定され、国家資格の立ち位置になりました。
ちなみに、日本人でNATA-ATCを持っている人は約170名。この数字だけでも、いかに取得者数が少ない資格であると分かります。
NATA-ATC資格ってどんな人に向いてる?
NATA-ATCはアメリカにおいて、スポーツ現場のアスレティックトレーナーになるなら必須の資格です。
日本で医師になるため、医師免許が一緒と同じです。
実際にNATA-ATCを持つ日本人のなかには、野球好きなら誰もが聞いたことのあるメジャーリーグチームのトレーナーを担当したキャリアを持つ方もいます。
バスケットボールのNBA、野球のMLBなどで「将来海外のプロスポーツ選手のサポートをしたい」と夢を持ってアメリカの大学へ留学し、NATA-ATCを取得する人もいます。
もちろん、日本のスポーツ現場のプロチームでトレーナー職になる場合も、NATA-ATCの資格は就職でもかなり有利に働くでしょう。スポーツトレーナーを目指すために、アメリカの大学へトレーナー留学する人もいます。
「日本はもちろん、欧米などグローバルを舞台にトレーナーとして活躍したい」
そんな目標を掲げる人は、留学の費用などを踏まえた上でNATA-ATCの取得を考えてみると良いでしょう。
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NATA-ATCの試験概要
まず、NATA-ATCの取得するには3つの条件が必要になります。
- アスレティックトレーニング教育認定委員会(CAATE)公認の4年制大学を卒業する(もしくは、大学院のアスレティックトレーナープログラムを卒業する)
- 所定のインターンシップの単位を履修する。(勉強時間は、卒業までに 700〜800時間必要とも言われています)
- 大学(大学院)を卒業後に、BOCの開催する認定試験(certification exam)に合格する
3つ目の条件である認定試験ですが、具体的に次の5つの領域に関するテストが行われ、それぞれに必要条件を満たしているか評価されます。
- 傷害・疾病の予防と健康維持
- 臨床評価とその診断方法
- 応急処置と救急処置
- 治療的な介入の手順
- 医療管理と職務上の責任について
認定試験の合格率は高めだけど…
CAATEが発表しているBOCの合格率は、例年80%〜90%と決して低くありません。しかし、この数字だけをうのみにすると痛い目を見るでしょう。
日本とアメリカの大学を比較するとき、こんなことがよく言われます。
「日本の大学は入学するまでが大変。アメリカの大学は入学後が大変」
実際に学園系のドラマや映画を観ると、アメリカの大学生は深夜まで勉強している様子がよく映ります。授業内でも活発な議論があり、課題の量は膨大。無事卒業するまでに、かなりの勉強量が必要です。
しかも、授業内容は当然「英語」。認定の大学に入学したあとも、アスレティックトレーナー学部に入るために英文にエッセーが求められ、常に英語力は求められます。
高い英語力と膨大な勉強。この2つをしっかり身につけたエリートだからこそ、多くの合格者数を生んでいるのだと理解しておきましょう。
自分の目指すトレーナーと必要な資格・知識・ノウハウを見極めよう
NATA-ATCの資格について紹介しました。一般の方々に限らず、これからトレーナーを目指そうという場合でも、「自分はどんなトレーナーになりたいか」があいまいになっている方が少なくありません。
NATA-ATCについて言えば、海外を視野に入れたスポーツ現場で活躍できるトレーナーです。もちろん、NATA-ATC資格を活かせば一般人やアスリート向けにマンツーマン指導をする、パーソナルトレーナーの職業にも活かせるでしょう。
しかし、国内でパーソナルトレーナーを目指す場合、NATA-ATCを取得するのはかなりの遠回りになってしまいます。アメリカの大学・大学院へのスポーツトレーナー留学にはかなりの費用がかかります。
NATA-ATC以外にもパーソナルトレーナー資格はさまざまな種類があります。
国内で活動するパーソナルトレーナーをめざすのであればNESTA-PFTやNSCA-CPTをまず取得することをオススメします。費用も留学と比べると断然安く、フィットネスクラブやパーソナルジムで就職・転職・業務委託契約など様々な形で役立ちます。
スポーツ現場に特化したいというのであればNSCAのCSCSというアスリート指導に向けた資格も、国内で取得が可能です。
パーソナルトレーナーを目指すなら知識や技能だけでなく、コミュニケーションスキル、カウンセリングスキルも必要となります。
- 活動したいフィールド
- それに必要なスキルや知識
- 就職・転職に役立つ資格
これらを総合的に考えて、これから皆さんがどんな勉強をすべきか決めてみましょう!
もしも
「自分はどんな勉強が必要かな」
「パーソナルトレーナーになるには何から始めれば良いだろう」
と迷ったら、お気軽に2nd PASSのスタッフに相談してみてください。
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