「パーソナルトレーナーの将来性は?」そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
一般的には「パーソナルトレーニングは若者向け」というイメージが強いかもしれませんが、実際の客層は20代から50〜60代までと非常に幅広く、需要となる年齢層の幅は広くあります。
また「もうブームは去ったのでは?」という声も聞かれますが、実際には店舗の拡大が続いており、健康志向やシニア層の運動ニーズといった新たな需要も増えています。
さらに、年収に関しても「18万円〜19万円では?」との声が多い中、実際には転職直後でも22〜23万円の収入が期待でき、昇進すれば30~40万円も現実的な目標にできます。
この記事では、そんなパーソナルトレーナーの将来性と、業界の現状について詳しく解説していきます。
パーソナルトレーナーの需要から考える将来性
パーソナルトレーナーという仕事の将来性を考えるとき、まずこの仕事の「需要」「どれだけの人がパーソナルトレーニングを求めているのか?」から考える必要があります。
一般的には「ダイエット向け」の需要が特に目立っていますが、パーソナルトレーナーにとって将来性を見出せる需要は大きく分けて以下の3つがあります。
- ダイエット・美容
- 健康維持
- 高齢者向けの健康指導
ダイエット向けのパーソナルトレーニング
芸能人が大幅な減量をするテレビCMをきっかけにパーソナルトレーナーという存在は知られるようになりました。「短期間で○○kg減量!」のようにダイエットしたい人が通うものがパーソナルトレーニングの一般的なイメージなのではないでしょうか?
クライアント様(お客様)の1人1人の体質や生活スタイルに合わせたダイエット指導を行うのがパーソナルトレーニングの仕事内容です。1人では挫折してしまうことが多いダイエットをトレーナーが寄り添うことで成功に導くのです。
短期間でのダイエットを一人でこなすのは簡単ではないため、例えば結婚式を控えた女性のお客様が確実にダイエットを成功させるためにパーソナルトレーニングに通うことがあります。
女性のお客様を中心にダイエット目的のパーソナルトレーニングの需要はここ10年で高まりを見せました。都心部を始めとして、パーソナルトレーニングジムの数も増加傾向にあります。
しかしパーソナルトレーニングの需要はダイエット目的のみにとどまりません。
健康維持:20代〜50~50代まで広い年齢層
ダイエットの他にも
- 「肩こり」「腰痛」などに対処する疼痛改善
- 猫背やX脚、O脚などに対処する「姿勢改善」
- 「解剖学」に基づいた運動指導
- 「栄養学」を根拠とした食事コントロール
などがあり、ダイエット以外にもお客様が抱える悩みに幅広く対処できることもパーソナルトレーナーが求められる理由の一つであります。
肩こりや腰痛は日本人の3人に1人は経験があると言われる悩み。年齢とともに増える体の悩みへの解決策をパーソナルトレーナーが持っている点にも業界の需要が見受けられます。
シニア向けの運動指導
年々、高齢者の割合が増え続ける日本社会において、健康ニーズに答える業種の求人は増加傾向にあります。
上記でも述べた通りパーソナルトレーナーはダイエットに限らず幅広く体の悩みに対処できる職業です。腰痛や肩こりに悩む高齢者が増えることと比例して、パーソナルトレーナーの需要も今後増えていくことが予想されます。
高齢者だけでなく子どもへの運動指導もでき、幅広い年齢に対応できるトレーナーもいらっしゃいます。
痛みの改善の他にも、定期的にパーソナルトレーニングに通うことで体のメンテナンスをするアプローチもあり、体の不調が起こる前に予防するアプローチもできます。
AIの発達はパーソナルトレーナー業界に影響を与えるのか?
少なくとも当面は、パーソナルトレーナーの役割がAIに取って代わられることは考えにくいと言えるでしょう。
パーソナルトレーナーのスキルを大別すると、主に「知識」、「実践指導スキル」、「コミュニケーションスキル」の3つの要素が中心となります。
スキル | 詳細内容 |
---|---|
知識 | 解剖学、栄養学などの専門的な情報 |
実践指導スキル | トレーニングのプログラム作成、運動のフォームの指導・修正 |
コミュニケーションスキル | クライアントのモチベーション維持、目標達成のサポート |
まず「知識」とは、解剖学や栄養学などの専門的な情報を指します。
次に「実践指導スキル」では、トレーニングのプログラム作成や、運動のフォームの指導・修正などが含まれます。
そして最後の「コミュニケーションスキル」は、クライアントのモチベーションを維持し、彼らの目標達成をサポートするための能力を指します。
近年、AI技術の進化により、「知識」と「実践指導スキル」の部分はAIによって代替される可能性が浮上しています。
しかし「コミュニケーションスキル」の部分、特に「このトレーナーとなら頑張れる」という
- 感情的な絆
- モチベーションの維持
- 目標達成をサポートするコーチングスキル
- ホスピタリティ
これらは人の感情に深く寄り添うものです。これは、現段階のAI技術では再現が難しいとされています。
もし感情面まで完璧にサポートできるAIが登場し、人間と見分けがつかないほどのロボットがパーソナルトレーニングを指導できる日が来るとしたら、それはパーソナルトレーニング業界だけでなく、全ての業界に革命をもたらす技術となるでしょう。
しかし現状では、人と人との間で織りなすコミュニケーションの深さや質は、AIには再現できないとの見解が多いです。
パーソナルトレーナーの年収から考える将来性:働き方別の年収比較
将来性を考えるときに働き方や給料は重要な要素です。
パーソナルトレーナーの働き方はそれぞれです。パーソナルトレーナーは大きく3つに分けて説明します。
働き方 | 目指せる参考月収 |
---|---|
正社員 | 月収22万円〜40万円 |
業務委託 | 月収50万円〜60万円 |
フリーランス | 月収100万円以上(上限なし) |
ここでは参考月収とそれぞれの働き方について触れていくため
パーソナルトレーナーの年収について詳しく知りたい方はこちら
正社員のパーソナルトレーナー:22~40万円
スポーツジムやトレーニングジム企業で社員として働きます。パーソナルトレーニング業務以外にも、ジムの運営に関する様々な業務・顧客管理・受付業務なども行います。
給料は固定給のみのところもあれば、固定給+歩合給として成果に応じてインセンティブ報酬の形態を設けているジムもあります。
ジムによって給料は異なるため参考とはなりますが、基本給がおよそ月収22~24万円程度です。インセンティブはさらにジムによって変わりますが10万程度から、多いところでは基本給と同じくらい報酬としているジムもあります。
新規店舗を出すジムが増えているため、昇給のチャンスも多く、安定した収入を得ることが期待できます。店長やマネージャークラスとなると30~40万円(/月収)が望めます。
年功序列よりも、実力主義の文化のある新しい業界であるため「頑張り次第で昇給が望める」ところに将来性があると言えるでしょう。
40歳からのトレーナー人生、わずか半年間で店長に
業務委託のパーソナルトレーナー(5万円~70万円/月収)
報酬の例 高収入の計算式
1セッション60分で6,000円〜8,000円が一般的です。例として、「1セッション7,000円」「報酬は売り上げの80%」の場合、以下のような計算になります。
- 80セッション数/月の場合:7,000×80×80%=448,000円/月
- 120セッション数/月の場合:7,000×120×80%=672,000円/月
業務委託の形態で働くトレーナーは、自分のスキルや経験に応じて収入が変動する可能性があります。
一般的には、トレーニングの単価が2000~3000円となっており、トレーニング数が増えるほど収入も増える構造となっています。
お客様とのトレーニングがある時のみ、ジムへ行けば良いので時間に融通を効かせて働くこともできます。それを活かして「週末のみの副業パーソナルトレーナー」といった働き方も可能です。
2ndPASSスクールの提携先のパーソナルジムでは70万円/月収を稼ぐトレーナーもいるとの情報があります。
フリーランス(0~100万円/月収)
スポーツクラブやジムと業務委託契約を結んだり、レンタルジムを活用したりすることでフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動できます。
正社員との大きな違いは働く時間が自由となり、収入は完全歩合制となります。より多くのお客様を担当することができれば、それだけ高収入を望めます。
集客も自分で行う必要があるのでビジネススキルが求められます。
収入は自分の頑張り次第というところもあるので、「今よりもっと稼ぎたい」「就業時間に縛られず働きたい」「トレーナーとしてのキャリアを高めたい」など様々に理由でフリーランスでトレーナー活動をする方がいます。
「法人向けパーソナルトレーナーという働き方」
「企業の従業員の健康管理をパーソナルトレーナーが担う!?」
従業員の健康は企業の生産性に関係してきます。今後は企業のパフォーマンスを高める為にパーソナルトレーナーが活躍する時代が来る可能性があります。
2020年9月18日、『一般社団法人全国運輸環境協会』というバス会社など運輸業界の労働環境改善の国会セミナーが開かれました。2ndPASSパーソナルトレーナー養成スクールを運営する株式会社『ジェイエルネス』は健康セミナー講師として参加し、運輸業の労働環境の改善にパーソナルトレーナーが貢献できる未来を発表。
長距離ドライバーの事故の原因の上位にくるのは「健康起因」によるものというデータがあります。従業員の健康管理をパーソナルトレーナーが担うことで、彼らの活躍できる分野がトレーニングジムから更に広がることを将来予想してもおかしくはありません。
【一般社団法人全国運輸環境協会】主催の「国会セミナー」にて、健康セミナーの講師を担当
独立・開業と年収1000万円を超える計算式
例えば2ヶ月全16回、料金が30万円のプランを用意すると、上記の計算で売上で1,000万円/月を超えることができます。
入会人数/月 | プラン料金/人(2ヶ月16回) | 月額売上 | 年間売上 |
---|---|---|---|
5人 | 30万円 | 150万円 | 1,800万円/年 |
10人 | 30万円 | 300万円 | 3,600万円/年 |
経営者になるのでパーソナルトレーニング以外にも資金繰りや、マーケティングの知識などの勉強も必要にはなりますが、その分大きな収入が望めます。
年齢若くして20代でもジムを開業するトレーナーもなかにはいらっしゃいます。
フリーランスで経験を積み、お客様の数も十分に確保できてトレーナーとしての知名度を確立した後に開業するのが一般的なパターンです。開業に関しては本当に人それぞれになるので「将来ジムを持ちたい」とお考えの方は様々なジム経営者あるいは他業種の経営者との人脈構築も求められるでしょう。
店舗を持って開業される際、様々なことを考慮する必要がありますが、なかでも「どこにジムを出すか?」は非常に大切。都心部などジム数が飽和状態と言える場所では、他のジムとの差別化が難しからです。
またシンプルに店舗の家賃が高すぎるため経営が継続できず畳んでしまう方も少なくありません。
将来性を高めるスキル
フリーランス活動で、パーソナルトレーナーの将来性は個々の努力でも切り開くことができます。
ではトレーナーの将来性を分けるスキルとはどんなものなのでしょうか?以下の大きく3つに分けて説明していきます。
- 資格
- ビジネススキル
- オンラインの活用
資格
パーソナルトレーナーは最低一つ以上は資格を持っておくことをオススメします。
医師、理学療法士、鍼灸師などには専門学校を経て取得する国家資格が必要ですが、「この資格がないとパーソナルトレーナー活動が出来ません」というものはありません。現状、資格なしでもパーソナルトレーナーとして活動できるため、トレーナーによって個々のスキルに差があるのです。
国家資格がない代わりにパーソナルトレーナーには「民間資格」が数多くあります。解剖学、運動生理学、栄養学など科学的根拠に基づいたトレーニング指導はお客様に信頼を与えるのです。
正社員トレーナーとして活動する場合は、ジムの設ける研修制度に従った自社資格などもありますが、フリーランスで活動する際は資格は必須と言えるでしょう。
数多くあるトレーナー資格で代表的なものを紹介します。
NESTA PFT
NESTAはアメリカの発行する国際的によく知られている資格です。PFTはPersonal Fitness Trainerの略。
パーソナルトレーナーに必要な知識を網羅しているだけでなく、フリーランスのや独立開業を意識したトレーナーが持つべきビジネスマインドにまで触れる資格です。
2ndPASSはNESTA認定アカデミーとなり、パーソナルトレーナーの知識・スキルだけでなく資格取得に向けたコースも用意しております。
NSCA CPT
こちらもNESTAと同じくらい国際的認知度の高い資格です。普段運動をしない方から、アスリートの方まで幅広い年齢のお客様へのトレーニング指導ができる証明となる資格です。
JATI ATI
こちらは日本で発行している資格です。上記のNSCA CPT資格を持っているとこちらの資格取得の際の試験が一部されるなどもあります。
ビジネススキル
主なスキルとして「集客スキル」や「コミュニケーションスキル」が挙げられます。
集客スキル
正社員のトレーナーは会社が集客しますが、フリーランスのトレーナーは自分で集客します。
主な集客方法としてコストの低いインスタ投稿などのSNS集客から始める方が多いです。自分のホームページを持とうとすると20~30万円ほどのコストがかかります。今では幅広い年齢層の人もSNSをやっており、使い方によっては強力な集客ツールになります。
コミュニケーションスキル
集客スキルと同時にトレーナーに欠かせないのがコミュニケーションスキル。これは雇用形態に関係なく必要なスキルです。
クライアントの体の悩みを解決するのがトレーナーですが、継続的にトレーニング指導をしていくにはお客様の本音とも向き合う必要があります。
せっかく食事指導をしても、お客様がそれを守ってくれなければトレーニングの価値が発揮されません。お客様との信頼関係をつくってくためにコミュニケーションスキルを勉強していくのもトレーナーには求められます。
オンラインの活用
2020年、コロナウィルスの影響でフィットネス業界が名指しで営業の自粛を強いられたこともあり、一時期は業界の将来性を心配の声もあがりました。
しかし自粛期間をきっかけにオンライントレーニングを積極的に取り入れる企業やトレーナーが増え、不測の事態という波を乗り越えました。
時間やトレーニング場所の制約を受けずにトレーニングできると、それだけ多くのお客様を担当できるので収入も期待できます。
テクノロジーの発達とともにこれまでにない働き方も現れてきます。特にフリーランスで働くトレーナーは身軽さを活かし、時代に流れに合わせて働けるという意味でも、将来性のある職業だと言うことができるでしょう。
まとめ
パーソナルトレーナーの将来性を「社会の需要」「働き方」「スキル」の3つの観点からまとめていきました。
将来の進路や転職を考えるうえで参考になると幸いです。
パーソナルトレーナーの「仕事・収入・転職」などもっと詳しく知りたい方はこちら
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WRITER 戸田 明宏
2ndPASSスクール/編集部/Webディレクター
保有資格:NESTA-PFT、NESTA-WMT
Webディレクター:Web広告、SEO、ホームページ集客
2ndPASSスクールではホームページ運用やサイト制作を、主に卒業後の生徒に向けてサポート
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